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校長記事 -根の深い木 11-

前回、新卒採用に対する就活ルールの廃止について少し触れました。

私自身も20年に渡り、新卒対象の会社説明や面接を行ってきましたが、就活シーズンに入ると大学生は、人気企業から応募していきます。

徐々に現実を感じるようになり5月頃には有名企業や大手を諦める学生が増えてきます。

 

いよいよそこから現実的な職業選択を始めることになります。

新卒採用の時期を後ろ倒しにすると現実に気づくのが遅れ、焦る学生は増えますから、やはり中西会長の決断は現実的なのかもしれません。

 

『G型大学』・『L型大学』という区分があります。

おおざっぱに言えば、≪グローバルなエリートを育成するG型大学≫と≪職業訓練を実施して地域の労働者を育成するL型大学≫に改編すべきだという区分です。

 

しかし、ここでもまた

「大学は職業訓練学校ではない」

「専門学校化すべきレベルの大学もある」

「大学が多すぎるのだから理論ではなく実用的な知識を教えるべき」といった意見が入り乱れました。

 

「文学研究は就職の役に立たない」

「シェイクスピア・文学概論ではなく、観光業で必要になる英語、地元の歴史・文化の名所旧蹟の説明力を身につけるべき」

「経営学部は、会計ソフトの使い方を教えるべき」

そうすれば「企業は育成に金をかけないで済む」等、肯定的意見も多いように思いました。

一部のトップ校は世界に通用する高度な人材を育成し、それ以外の大学は地方経済を支える人材育成を担うべきであり、大学も両方を追いかけるのではなく、機能分化すべきだというのが趣旨です。

 

日本の産業構造と労働生産性の観点からは、至って合理的な主張のように思います。

 

確かに非正規雇用がこれほどまでに増えたのは、大学進学率が上昇したことにあると思います。

大学卒は依然として高卒よりは賃金が高く設定されていますし、失業率も大卒の失業率は高卒の失業率よりも低くなっています。「どうせ4年間ろくに勉強しないんだから、高校卒業したらすぐに働くべきだ」と言う今の中高年も多くは、どちらかというとアルバイトに明け暮れ、私も含め学問とは全く別の世界の見識を広めていたように思います。日本の大学生は、数十年前から「いろいろ」です。

 

1966年に249万人だった18歳人口は、1992年をピークに激減し2009年に121万人に減少し2018年に117万人、2024年には110万人を切り、2031年には99万人になります。

ピーク時の半数にまで減少しても、それでも大学生の募集枠は拡大し、企業は過去40年間、一貫して採用を増やしています。

少子化の真只中でも大卒の就職者数が微増しているのは、大卒の募集枠でないと就職できないという状況が出来上がってしまったからではないでしょうか。