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校長記事 -根の深い木 16-

孫子の兵法の多くは、書店では現代語訳がビジネス書として置かれています。

確かに、ビジネスのいろいろな場面で引用されます。

私もビジネ書として何度か読みました。

相手(敵や自軍の兵士)の心理を読むことで兵法を教えています。

現代語訳を読みますと、つまるところ人間の心理を解説しているように思います。

人間というものをよく知らないと勝てないというふうに教えているように読めます。

人の心を読めない者は信頼を得られないし、相手の出方を読めないから勝てないということです。

物理的な力の激突としての勝ち方ではなく、心理の占める割合が優勢をもたらすということです。

孫子の兵法には、人間は本質的にはどうあるべきか、とか、どのように生きるべきか、が書いてあるわけではありません。

軍事の実戦書ですから、たとえを用いて経営に活かすことはできても教育に活かすのは無理があります。

ただ、幅広く捉えればどのようにでも解釈できてしまうのかもしれませんが、特に書物は自分が壁に当たっているときには、そのように読めてしまうということがあります。

そんな時に、私がハッとした一節がありました。

「告ぐるに言をもってするなかれ」。

感情的にあれやこれやと怒りを類焼させてはならないという意味です。

指示はいくつもしてはならないとか、いくつものことを叱るなとか、ついでに叱るなという意味です。

置き換えればご飯の食べ方を叱っているときに、何でふてくされた顔をしているのだとか、いくつものことを言ってはならないということですね。

これは、叱られる側の立場のことを思い出せば、すぐにわかります。親子で言えば、親の方が強く言える立場ですし、叱りすぎることもあります。叱られるばかりの方はたまりません。

そう考えると子どもの心理を読んでから叱るべきだということです。

目的が懲らしめることになっては、成長はしませんし、ずうっと覚えているもので、私は、随分あとになってから、娘にグサリと言われました。

卒を視ること嬰児の如し

卒を視ること愛子の如し

この部分は、相手の心を読むというより読まれる部分ですね。

愛してやれば一生懸命にやるということです。

心を読まれることも読まないといけません。