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校長記事‐根の深い木 20‐

トロントにいて感じることは、現地校に通っている日本人の中高生は、日常的に多様な価値観や考え方に触れていて、自分ではその価値にまだ気づいていないということです。彼らは日本に帰国した時にきっと、違和感を抱くことでしょう。その違和感こそ海外で育んだ感性の土台なのですから忘れることのないよう大切にしてほしいと願います。海外に生活するということは、単にその国の言葉を習得するという以上の大きな価値を与えてくれます。異文化適応力は海外生活者にしか備わっていません。

また、外国人とコミュニケーションしなければならない状況下での対応能力は、海外で生活した経験のある帰国生にとって一生の宝であることは間違いありません。

Japan StandardとGlobal Standardに気づけることで帰国生が活躍する機会は、今後どんどん増えていくことでしょう。外国語は異文化理解やコミュニケーションのための手段の一つです。ですから英検もTOEFLも英語力を計るよいテストの一つですが、スコアが高いことがコミュニケーション力の高さであるとは限りません。異文化理解や異文化の中での対応力と絡み合い、高度な言語運用能力として使いこなすことでさらにハイパフォーマーになっていくのではないでしょうか。

大学入試では受験者を評価するに際して、これまで以上に思考力やコミュニケーション能力を重視するようになりますが、そういう意味では「帰国生の視座」はとても興味深いものです。