
社会人になったばかりの頃、周りの大人から「社会に出たら必要なことは応用力なのだ」と、よく言われました。実にその通りで、学校教育の役割は、基礎となる「読み書き計算」なのですから、若者が「習ったことが役に立たない」というのは、ちょっと間違っています。
教わったことを使いこなせていないということです。ノコギリや金槌やのみの使い方を教えてもらったのだから、家を建てられるところまで、見たり聞いたりやって失敗したりして腕を磨いて、四苦八苦して努力していくのが社会なのだ、ということだったのです。
一生懸命勉強して、いくらいろいろな知識や技術を身につけても、それだけでは社会に出ても通用しません。
ですから、2020年の教育改革では、習ったことの使い方を方向づける「実践力」を高めることを重んじています。そして、課題を乗り越えるための実践力を高いレベルで身につけるためには、一人ひとりが自分の考えを持ちながら他の人と話し合い、考えを比較・吟味してまとめ、より良い答えにしていくことが大切だということです。国をまたいで、みんなで協力しながら解決しなくてはならない問題がたくさんあるからです。
無人島で1人で暮らしているようなつもりではいけません。
「社会に出たら応用力」というのは他者との関係性が最重要であり、対人関係を持たずには、解決しないことを前提にして取り組まないと成長しませんよ、ということだったのですね。教育の不易流行です。