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偏食‐根の深い木 31‐

母親は子どもに「好き嫌いせずに食べなさい」と言います。

好き嫌いがないほうが健康に良いという親心ですね。

日本ではあまり意識しないことですが、宗教的な食べ物の制限や文化的な伝統による食習慣をもつ人が周囲にいることも海外在住の家庭の子どもたちには日常です。

また、現代は「あえて食べない」ことを選ぶ人も少なくありません。ベジタリアンの家庭で育った子どもにとっては、それがスタンダードです。

倫理的な理由でヴィーガンの方もいらっしゃいますし、ヴィーガンにも、さらに種類があるそうです。

トロントは多民族都市で世界中から人が集まってきています。

皆自分たちの国の文化を守りながら、共存しています。

食習慣に関する偏りにもそれぞれに事情があり、そのことで誰かに「食生活は斯くあるべし」「好き嫌いはいけません」と説く人は、いらっしゃらないのではないでしょうか。

ところで、初めていろいろな国の人たちと食事をする段になって「“いただきます”ってあなたの国の言葉でなんていうの?」と尋ねて、該当する言葉がないと知って驚くことがありました。もちろん、この驚きは、今まで知らなかった海外の文化に触れたという謙虚な驚きです。

驚くことで、さらに視野が広がります。言語にしても宗教にしても自分たちの方が少数派であることを実感してさらに多様化を知ります。

他の国々の人たちの考え方や文化や習慣を理解していれば、自分の習慣と異なる行動に対し、怒りや不信感を持たずに対応することができます。

相手に敬意を示し、良好なコミュニケーションを可能にするというのは、そういうことなのではないでしょうか。