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教科書‐根の深い木 34‐

PISA のグローバル・コンピテンスの定義は要約すると「他者の視点や世界観を理解し、認め、多様な人々と考えを伝え合い、行動を起こすこと」です。

これは、教育改革やグローバル人材云々を抜きにしても必要なことですし、新しい時代を生きるすべての子どもたちに不可欠な能力です。

全国どこの小中学校にも、日本人以外の生徒がクラスにいても珍しくない時代が来ています。お互いの文化に敬意を払い、一緒に何かを成し遂げるという経験は、子どもたちが成長しグローバルに活躍する時には宝になるはずです。

教育改革では「考える歴史教育」が掲げられています。これまでは義務教育の中で、人類の起源から現代までの何十万年にわたる歴史を、通史で学習するのではなく、重要な史実をいくつか選び、覚えるというスタイルで学んできました。事柄によっては教科書の脚注だけのものもありました。また、中には事実関係に関する論争が絶えないものもたくさんあります。私は社会に出てから関心が湧いた史実について歴史書を読んで、それまでの自分の学習の薄さに何度も驚きました。近隣国との関係についても主張する国に対し、でっち上げだという専門家もいて、どの歴史観が正しいのか受験勉強を振り返って疑問を感じました。教科書では一行ですませている史実について、別の国では、詳しく学んでいることもあるでしょうし、その逆もあるはずです。いろいろな議論を読むことで、悪感情を持つ国があることやその逆があることを少しずつですが理解することができるようになりました。

終戦記念日が近づくとテレビで太平洋戦争での戦場の新事実を告白する元兵士が随分いらっしゃって、その内容に毎年、毎年愕然としてきました。

私は、近隣国の国立博物館を訪れる度に、展示や放映されているビデオを見て、複雑な感情に襲われました。歴史は得意科目だったつもりなのに全く知らない史実が多過ぎたのです。受験勉強で膨大な史実を暗記したはずでした。史実と知識がまるでリンクしていませんでした。「学校の教科書で学んだ」というだけで、グローバル人材には、ほど遠いのは当たり前でした。私たちも「考える歴史教育」にぜひ参加したいと意気込んでいます。