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将来を考える時‐根の深い木 35‐

就活生が行う職業の選択の迷いは、高校選びや大学選びの比ではないでしょう。

日本だけでも何千何万という種類の職業がありますし、数百万の会社があります。

それだけあったら必ず自分にぴったりの会社があるはずだと考えてもおかしくありません。

人手不足が深刻化している職業もあります。高齢化で市場が急成長している業種もあります。逆に新種のコンピュータソフトやAI導入で供給過多が見込まれる業種もあります。

また、一流企業であってもスキャンダルにまみれたり、ブラック企業と名指しされたり、評価の乱高下にも驚かされたりもします。どんな時代にも人気の業種というものがありますが、仮に、今好調で勢いのある業界に入っても、10年経ったら世の中がどのようなものになっていくのかは、まるで想像もつきません。新しく生まれる職業も消えていく職業もたくさんあるでしょう。

 

中学生くらいになるとなんとなく自分の将来を考えるようになります。そして大学進学の際は学部を選ぶことになり、中学生の時より具体的に考えます。大学受験をする高校生は、17歳の段階で「どこの大学にいこうか」「どこの学部を受けようか」と考え、親や友達とも意見を交わします。大学名や学部だけでなく将来のキャリアについても併せて考えます。

将来の職業像に少しずつ迫ります。

さらに大学3年になる辺りから「夢」ではなく「就職先」を考えるようになります。幼い頃の夢のことは忘れて、自分は会社員になるのだと自然に考えます。「夢を持とう」「夢を持ち続ければいつかは叶う」と聞かされてきましたが、情報社会の今の子どもたちは、良い意味で現実を知っています。知らない場合は逆に「いつまで夢みたいなこと言っているんだ」とひどい言われ方をすることもあります。「夢を持て」と言われることに飽きているという生徒もいます。「小さい頃から夢を持ち続け、それに向かって努力し続けてついに、夢は叶った。皆も是非夢を持って欲しい。夢に向かって頑張ればいつか現実になる」と子どもたちは、しきりに夢について語られてきています。指導者は、夢の必要性を過剰なほど動機付けにして説きます(教育関係者に多いように感じます)。もちろん夢を持つのは悪いことではありませんし、努力する動機になりますが、成功者は、夢を持ち続けたというだけで成功したわけではありません。

好奇心を失わず、興味があることに積極的に接していれば、いつか何かに出会います。その何かが10代のうちに自分の将来を考える機会となります。そして、根気よく継続することの大切さを学んでいくことです。刺激を与えてくれる友達とのディスカッションや身近な大人とのコミュニケーション機会をたくさん持つことから、徐々に夢ではなく目標に変わっていくのだと思います。