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威厳‐根の深い木 36‐

生徒に「先生は、褒めて伸ばすタイプですか」と尋ねられたことがあります。生徒はどんな風に教師のタイプを分けているのでしょうか。

かつて塾教師を集めたセミナーで「叱り方」という項目があって、何を指導するのだろうと不思議に思いました。“叱り方で、相談を受けることが多くなりました”といキャッチフレーズだったと記憶しています。

どうすると塾で生徒を叱ることになるのでしょうか。叱るというのは対処療法です。例えば宿題を忘れてきたからとか、授業中に寝ていたからでしょうか。騒がしいからとか、カンニングしたからでしょうか。これらは全て教師の責任であって少なくとも叱って正すことではありません。

教師は、先ず生徒が、認めてくれて成り立つ仕事です。

授業中に生徒が寝るのは授業がつまらないからであって、この場合、正さなくてはならないのは眠くなる授業をしている教師です。テスト監督はカンニングを防ぐためにいます。騒がしいのは認知されていないからです。認知されないのには理由があるはずです。

教師の威厳とは何でしょうか。生徒からの質問に全て答えることができたら、生徒は教師に敬意を持つのではないでしょうか。20代の進学塾教師にどんな威厳を想定したらいいのでしょう。年齢の問題ではないと思いますが教師の威厳というのは曲者で、これを勘違いしてはいけません。厳格と威厳は似て非なるものです。

高圧的な教師は昔からいます。「おい!」「わかったのか!」「なんでできないんだ!」と

力関係の中で生徒を見ている教師がいます。職業として選択しただけで、漏れなく威厳がついてくることはありません。

教師はいつもご機嫌で明るく、楽しく、元気よく子どもたちの前に立つべきです。教師に限らず大人が子どもに接するときの基本ではないでしょうか。

子ども達の居心地がよくなるように授業するのは迎合することでもご機嫌を取ることでもありません。教師が一流かどうかは子どもが決めます。

授業の構成を練り、どこで子どもたちを感動させるか、そういうことをいつも考えている教師は、褒める派とか叱る派とかの偏りはないのではないかと思います。