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獣身を成して後 ‐根の深い木 46‐

 

 福沢諭吉は、自伝に「先ず獣身を成して後 人心を養え」と書いています。意味としては、先に体を鍛えることが大事で、それから心を養えということです。

確かに、肉体を鍛えるからこそ、内側からエネルギーがきちんと湧き出るように感じます。肉体を鍛えるきっかけとしては、スポーツがあります。学生時代に、スポーツをする意義は、いくつかあります。

・我慢強く練習を重ねながら、結果が出れば自信もつき、積極的な姿勢になります。(もともとは弱気で引っ込み思案だったという人も、勧められて始めたスポーツで、結果的に自己変革できるということもあります)。

・技術、体力の向上のために努力することやチームプレイを覚えることができます。

・自分の肉体の性能を知ることができます。

・相手に勝つことを目指して試合をするので競争力がつきます。

・自分のプレーが得点に結びついたのか、失点に結びついたのかを知ることができます。

・緊張した試合に臨まなければなりませんから、精神力が鍛えられます。(緊張する機会が多いほど、対応力が増します。)

 

ただし、社会に出てからは、スポーツは一部の方を除いて、自分を鍛えるというよりは、健康のため、趣味として、気分転換のために行います。社会に出てから挑むのは「ビジネスパーソンとしての人生」ですから、学生時代にスポーツで活躍した人も、その先は「社会人」として活躍しない限り、人生は先細りになります。伸ばすべき能力はスポーツの能力とは別次元の能力です。スポーツを真剣に取り組んできて、すばらしい経験をしたのですから、青春の思い出で終わらせてしまうのではなく、その成功体験をビジネスに応用するべきです。例えば、チームスポーツは、“コミュニティを持つことの大切さ”を教えてくれます。5人、7人、8人、9人、11人、15人などプレーヤーの数自体が組織ですし、誰か個人が強かったら勝てるというものではないということもそうです。ポジションによって求められる役割が違うので、機能することを学びます。子どもたちも、スポーツをせっかく始めたなら、簡単にやめてしまわず、先ず獣身を成してほしいです。

社会に出ても、プレッシャーは避けられませんから、乗り越えるために、いったいどうすればいいのか、どんな方法があるのかを考える時がきます。「自然にプレッシャーに強くなりました」なんてはずはありません。獣身を成した後の養うべきゾーンに入ったと捉えることができますね。