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新しい受験学習 ‐根の深い木 56‐

高大接続改革では特に大学入試改革が注目され、大学は卒業までに学生が身に付ける能力の明確化が求められています。

 受験産業もかつてのように「国公立大学は論述式が多く、私立大学は記号選択式が多い」というような選抜方法への対応ばかりを分析したり教えたりするような近視眼的なものでなく「大学で何を学ぶのか」を優先して真剣に相談に乗るべき時代に来ていると思います。

 これまでの受験勉強は、入試の時に使う知識を身につけるためのものでした。むしろ入試の時にしか使えない知識の方が多かったかもしれません。そして生徒も進学塾教師も入試に「出る」「出ない」にこだわり続け「入試に効率的であること」が勉強であり、受験生、受験勉強の語義でした。

 今回の高大接続改革では、接続の部分だけを見ますと、入試の在り方をどうするのかという話になりますが、PISA型にシンクロすることで「次代を担う若者に受験学習を通して問題解決力を育成する」と捉えることができれば、例えば小論文のテーマを予想した受験学習が、社会に出てから必要な認識を定着させる機会になります。

 その視点で見ると「移民」、「エネルギー」、「国際化」、「情報化」、「環境問題」、「少子高齢化」など、各大学の小論文テーマは、挑むべき難問にどのように立ち向かうべきかと自分自身を練磨するとてもよい機会になるのではないでしょうか。

 ですから、受験勉強を通して熱心に課題文に取り組み、ディスカッションして解決の糸口を探そうと課題文と格闘している高校生をとても頼もしく見ています。彼らは将来の夢をかなえるためにも、今の国際的な課題に取り組むためにも、まず希望する大学に合格するために勉強して、さらに社会で多くの人と関わっていきたいと真剣に考えています。