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議論の場で ‐根の深い木 57‐

対話でも議論でも、その場でどれほど自分の考えを述べられるかという即興性が、その人の実力ではないでしょうか。

 会議などのように事前に議論するべきことを伝達して、参加者が調べるなりデータを整えて準備するなりしてその場に臨むというケースは別でしょうが、それでもやはり少々の無茶振りに対応できるコメント力は、やはりその人の実力だと思います。

 「幅広く深い知識」があって「説明する力」があるというのは、その人の力量そのものです。黙ってしまったり、言い訳したりするのではなく、議論として成立させ、参加者を納得させ、周りの人たちを次のステップに進ませるのは素晴らしいスキルです。

 どれだけ知識があっても「伝える力」や「説明する力」がなければ、そういう風に人の役に立てません。

 「伝える力」や「説明する力」は、対人関係の洞察力と関係しているのではないでしょうか。独り善がりの意見を傍若無人にしゃべる人とは会話も弾みませんし、議論になりません。

 トロントで生徒たちと話して驚いたのは、物怖じせずにしゃべることができる子が多いということです。

 自分のことをきちんと語ろうという姿勢が目立ちます。マナーもとてもよく、傾聴能力も高くて驚きました。トロントに在住の日本人家庭は、家庭内コミュニケーション量がとても多いように思います。

 ですからNYCAでは更に、

「なぜ自分は、そのように考えるのか」

「自分にとってどういう意味をもつのか」

「自分はどんな夢を実現したいのか」

といったより本質的なことについて、一緒に日常から考え、言葉にする訓練をし続けています。そうしていないと結晶化することが難しいと考えるからです。 

 議論し合える「場」はとても重要ですね。