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消費者としての生徒 ‐根の深い木 62‐

入試小論文の課題文で“「家電製品などを時間とともに値下げしていくことで,購買意欲が高い人には発売当初に高価格で,低い人には時間が経ってから低価格で買わせる方法」についてどう考えるか”という内容の設問がありました。

 この問題を授業で扱った時、生徒に“家電量販店の安売りのタイミングを知っているか”を投げかけたところ、即答されました。しかも「ボーナス時」「年末年始」だけでなく、「決算前」という言葉が出た時は、驚きました。

 これは、家庭内コミュニケーションの賜物だと思いますが、生徒自身が、消費者心理や購買の動機を既に知っているのは間違いなさそうでした。耳学問だけでなく時として、消費者になりきって洞察しているのでしょう。

 家電品は、ともかくとして今時の高校生は、消費者になりきることができるのですね。

新製品についての話になった時にも、すぐに買う人、それに続く人、多くの人が買ったことを知ってから買う人について、生徒たちは、自分に置き換えていろいろに発想していました。彼らにとって自分たちがマーケットの一部であるスマートフォンもファッションも消費者としてみた場合にはいくつかのタイプに分けられることを感じたようです。

 スマートフォンやファッションに限らず、あらゆる商品において、上記のようにいくつかに分類ができます。そして、このことがどんな意味を持つのか、消費者と売り手側のそれぞれのメリットを考えさせるものとしての出題でした。

 現代社会はソーシャルメディアの普及で、企業は消費者との対話から得られるデータを活用することで定性・定量とも様々に検証できる時代です。生徒は生徒で、対象商品によっては、消費者になりきっているので、こうした問題も対応可能なのでしょう。ですから、子どもも一消費者としての気づきが洗練されてきています。

 もしかすると、企業にとっても商品によっては質問・対話するに際して、「誰に聞くとよいのか」を考えたら、高校生はなかなか鋭いコメントを発してくれる良いマーケターなのかもしれません。私は、マーケティングも営業も門外漢ですが、こうした問題を通して彼らが発信する「消費者の本音」を聞き、中高生を「一人の消費者、人間として見る」ということの大切さを改めて知りました。

 トロントでは今、中高生にタピオカドリンクが人気ですが、彼らはどの店のどの商品の品質が高いか、値段はどうかなどをかなり細かく知っています。優れているものを選ぶことも、価格が同じなら付加価値を比較することも消費者になりきって行なっています。これは、既に消費の訓練として、自分の気持ちがどう動いたかを分析する習慣を持っているということではないでしょうか。自分の気持ちがわからなければ人の気持ちを探ることはできません。この日は、そんなディスカッションでした。