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協同問題解決能力‐根の深い木 75 ‐

PISA2015年調査では、革新分野として「協同問題解決能力調査」が出題されました。

「問題解決能力」は過去にも出題されているのですが、2015年では「協同」が入っているのがミソです。調査の結果、日本の15歳が持つ協同問題解決能力はこの時、OECD加盟32か国中1位でした。

一人で問題を解決する能力だけでなく、複数の人とチームを作り、協力して課題解決ができるかどうかの力を問う問題でした。こうした資質・能力が、ますます不可欠になると考えてのことです。今回の出題は「3人のチームでコンテストに参加し、チャットを用いて相談しながら、架空の国の地理、人口、経済についての問題に答えていく」というものでした。受験者と仮想人物2人がチャットをしながら取り組む設定で問題を解く前の話し合いの中で、自分の発言として適切なものを4つの選択肢から選ぶというものです。こんな感じですね。

<例>

チャット参加者 あなた あかねさん 三郎君

あかねさん「一つ正解したわ。この調子で行きましょう」

(他の問題を受け持つあかねさんが「地理」の問題に答えてしまう)

ふさわしいと思うあなたのセリフを以下から選択してください

「時間がないよ。チャットで時間を無駄にしないようにしようよ」

「地理の問題に答えた人。よくやったね」

「地理の問題は他の人が答えたから、僕は分野を変えるよ。」

「僕が地理の問題をやるはずだったのに。みんな、自分が選んだ分野をやろうよ。」

最後の「僕が地理の問題を・・・」が正解です。

協同で問題解決する能力を評価するというのはとても興味深いものです。自分自身の特性や、どこを強化していけばよいのかなどが見えてきそうです。戦略をたて、誰がどの分野を担当するかを決め、最短時間で解答を終えるまでの手順を効率的に進められたかどうかを判定していく。ただ単に「いい人」になるだけでなく、ときには仲間にビシッと言うことも求められるということです。速く正確に正解にたどり着くだけのテストとは違う「ものさし」をつくることは、生徒のさまざまな能力に気付くきっかけになります。

一人でできることには限界があり、周囲の人たちと協力しながら問題を解決していく力が求められます。実際、社会に出てもチームワーク、問題解決力、コミュニケーション力、思考力は重要視されます。複雑な問題が溢れ、多様な価値観が混在するグローバル時代を生き抜く上で、協働(文科省では協働的な学びとしています)して問題解決する力は不可欠なスキルと言えます。他者と協力して一人では困難な問題を解決する楽しさを体験することはとても有意義であり、社会に出てからも役立つ多くのことを学ぶことができます。また、グループの一員として受け入れられることは、子どもたちに自信や自己肯定感を与えます。

話し合いの中で意見が衝突したり妥協したりして、失敗することもあるかもしれません。しかし、意見をぶつけ合う中で、一人では到底思いつかないような解決策を見い出すことがあります。

 

これからは、こういう体験をいかにものにしていくかが成長のポイントですね。