· 

生徒たちと話す‐根の深い木 85 ‐

生徒たちと話すことで、私たちは労せずして鮮度の高い情報が、毎日大量に入ってきます。普通の大人は、同年代との共感を中心とした付き合いや利害関係のあるコミュニケーションに終始します。どうしても話題は仕事中心になります。もしくは、新鮮味のない趣味の話に偏りますし、新しい何かを得るということはあまりありません。それに対して、生徒と会話すると、いつも新しい発見や気づきがあります。生徒たちは、実にいろいろな情報を持ち込んでくれます。新しいスニーカーのモデル、開店したばかりのバブルティーのお店、ハーゲンダッツ半額セールをやっているスーパー、ベーグルが一人3個までフリーのベーカリー。フランクに付き合えば、子どもたちから多くのことを学べます。ちょっとしたマーケティングにもなります。子どもに相手にされる大人になった方が得をします。つまり、私たちは生徒に相手にされるような人間でいることも大事なのです。

また、大人同士でも、若い人の話に耳を傾けないとか、若い人から学ぶ姿勢がないなどということは、どのような職場でも論外です。もちろん、年長者として経験を重ねた分、若い人たちに提供できる知恵はありますが、そういう切り売りの説教よりも、若い人から学ぶ姿勢を持ち、常に自分自身をバージョンアップしている人の話の方が説得力があります。年長者はついつい話し過ぎてしまいます。何かにつけて「あ、それはね」「私の場合は」などと、少しで止めておけばいいものを、ドヤ顔で延々と講釈を展開しています。「聴き手に徹する」とか「相手が質問してきたら丁寧に答える」、「話し過ぎないようにする」ということは難しいものです。人は対話によって学びますが、相手が自分より若い人であれば、自分の知らないこと、新しいことや新しい考え方を教えてくれます。関心を示せば、年下の人たちもたくさん話してくれます。同年代との付き合いは、共通言語も多く、共感できることも多いですから、居心地がいいので、若い人と付き合うことを苦手にする上目線のベテランがいます。私は、若い人に教えてもらってGoProを買ったのが嬉しくて、撮影したものを友人たちに威張り散らかしたのですが、みな「GoProって何?」で終わりでした。がっかりして、また若い人たちと発表会をして楽しみました。若い人は刺激的です。

「何事も経験を積んだベテランの方が知識や技術も豊富で、尊敬に値する」という考え方が若い人の意見を冷遇する職場環境の温床になっているような気がします。「生意気だ」「反論するな」という表情をする上司・ベテランもいます。「年長者を敬いなさい」という緊張感を無駄に強いる、かと思えば、カラオケで今時の流行りに迎合する。若い人や子どもが理不尽を感じながら、経験が浅いというだけで重要な主張ができない、という環境は間違っています。年齢が情報量や学力や知識力の高さを反映する時代は終わりました。大切なのは「最近の若者の知識を持っていること」です。新しい文化もITツールも技術も、若い人の方が触れる機会は相対的に多いのです。

 

最近、40歳以上の人が、どんな新しいことをあなたに教えてくれましたか?スマホもPCもロクに使いこなせない50代の上司はどんな情報交換を行っていますか?ITツールなしでも労働が完結した時代のおじさんは、いまだに「ホウレンソウ業務の重要性」を説いています。説教の申し送りにしか思えません。