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学校を見学する‐根の深い木 87 ‐

中学受験志願者のご家庭では保護者が子どもを連れて、一緒に学校を見学することが、一般的になってきています。かつては、有名校以外は所在地さえ知らないという方が結構いらっしゃいました。また、難関県立高校から難関大学に進学された保護者の中には、強く官尊民卑の先入観を持っていらっしゃるケースもありました。

 

私立中学に進学するからには、相応の教育費を出しても惜しくないという選択でなくてはなりません。そして、受験学習はやはり一人ではできませんから、私立中学受験に対応した進学塾にも通わなければなりません。それぞれに決して費用は安くありませんし、許容できる教育費というのはどこのご家庭も無制限ではありませんからシビアに検討することになります。

 

四年制大学を出たお母さんが増え、仕事も子育ても頑張ってきたお母さんは、教育への意欲も関心も高く、家庭外の社会もよく知っていらっしゃいます。これからは、単純に「勉強ができるようになってほしい」ではなく、「社会に通用する学力をつけてほしい」という要望が強くなっていきます。

 

企業でも社会全体でも、求められる人材が変わり始めていると言われている時代に対応する能力を育てるにはどうするべきか、必要な情報を収集していかなくてはなりません。

説明会に参加せずとも、パンフレットやホームページで簡単に知ることができる私学の特長としては、例えば公立中学校はみな男女共学ですが、私立には男子だけの学校、女子だけの学校(別学と呼びます)がたくさんあります。有名大学の付属校もあります(最近の付属校は、併設大学に進ませるだけでなく、外部大学の受験にも積極的なので、進路が狭まるという心配もありません)。大学合格実績が優れていることを強みにしている私学もたくさんあります。例年、高校別東大合格者数ランキングの上位30校の大部分が私立の中高一貫校であることはよく知られていることです。英語に特に力を入れている学校もあります。修学旅行や短期留学など海外経験を中学でできるのも私学ならではの環境です。また、公立では一般的な教科時間割ですが、私立の中には「聖書」「園芸」「礼法」「茶道」「バイオリン」などの授業が組み込まれている学校もあります。そして根本的な部分として、私学は、どこも創立者が「こういう人間を育てたい」という思いで始めていますから、人を育てることについては長い経験を持っています。これらのことは、パンフレットでもわかりますが、説明会で、それぞれの学校がアピールする魅力を聴くこともできます。個別に相談を受け付けている学校も多いので、我が子に合っているかどうかを判断することや、子どもの反応を知ることもできます。学校に足を運んで最もリアルに見えてくるのは、そこに通う生徒の姿かもしれません。どんな子が通う学校なのかは、説明会や文化祭でなくても下校時に見ることができます。「百聞は一見に如かず」です。当然のことですが、学校に足を運ばずに、「志望校」や「受験校」を語るのは、妙なことだと思います。