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教育とコロナウィルス‐根の深い木 97 ‐

コロナウィルス感染の拡大で、グローバル化の進展は逆回転しています。これを書いている323日現在、世界各国が感染を防ぐために海外からの渡航を制限し始めました。経済に与える影響を考えたとき感染が長期化すればするほど、深刻な影響と混乱が生じることになります。

また、学齢期の子を持つ家庭には別な面でも被害が出ています。小中高の一斉休校による子どもの食事の心配、長期在宅による子どものストレス、在宅勤務というわけにいかない保護者の職業、共働き世帯など連鎖要因が露出しました。春は卒業式など学校にとって、やるべき業務が多く、先生たちも目の前のことをこなすのに精一杯ですから緊急性が高く、かつ安全に関わることについて限って言えば、国がトップダウンで全国一斉休校を要請したことは、よく理解できます。日本では、227日に学校の一斉休校が要請されると、直ちに塾のWebページには、新型コロナウイルスへの対応に関する膨大な通知が並び始めました。学校の教室での授業は感染リスクが高く自粛するが、塾にはリスクがないなどということはありえませんし、塾は、学校を補完するところですから、活動は、否応にも学校に合わせざるを得ません。また、学校の休校期間に合わせて授業や新年度に向けた入会説明会などのイベントも延期しなければなりませんでした。

こういう外出禁止の時に自宅でのオンライン教育が定着していて生徒が自宅にいながらいつも通りの学校の授業を受けられれば良いのですが、日本の教育のオンライン化は限定的です。家庭学習にインターネットを活用できると良いのですが、学校自体のICT環境が十分に整備されていないことや、各家庭の通信環境にも差があります。学校の授業をWebでライブ配信ということもまだできません。

海外留学中の日本人大学生にとっても、在籍する日本の大学からも「帰国要請」が出て、滞在国政府の対応措置について正確に情報収集しなければならない緊張と動揺の中、留学を中止して帰国しなければならないことになりました。フライト減便もあって「どうやって帰ればいいのか」「航空券を買って帰国してもホテルで14日間、生活するお金の心配」など不安は山積です。留学生は、一時帰国をした場合には、在籍大学等を通じて留学の一時中断の手続を行う必要もあるでしょう。状況が改善して再度、留学が可能となった場合の手続きや再入国など、いくつもの手順を踏まなければなりません。就労ビザの取得で、四苦八苦した経験のある私は、学生たちが自力で対処しなくてはならないことを想像するとその困難に立ち向かう勇気と身に付けるノウハウと体験が今後の彼らの人生の糧となることを確信するとともにそれらを乗り越えることができるであろう彼らを心から尊敬します。

 

世界全体での出入国制限が広がり、大学の国際化にブレーキがかかってしまいます。この事件が起きるまで日本への留学生も、また日本から海外に渡った日本人留学生も増え続けていましたが、大学側が受け入れを中止したり、学生が留学を見送ったりするケースも増えるでしょう。グローバル化が中断し、今後の世界経済には大きな影響があるはずです。しかし、唯一、ポジティブに捉えられることがあるすれば、このことが本格的なグローバル化にとって、乗り越えるべき次の大きな変化の局面を迎えつつあるということなのかもしれません。