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別学‐根の深い木 105‐

 

 日本の公立高校は、現在は一部の地域を除き、大部分が共学となっています。私立高校も、共学化の傾向にあります。私は、男女別学が、減っていくのは、とても残念に思います。中学受験においては、別学の選択肢がたくさんありますから、男子校・女子校をまったく選択肢から外すのはもったいないと思います。男子校・女子校には伝統校が多く、独自の校風や文化があります。男子・女子それぞれの伸ばし方についてもノウハウが蓄積されています。また、別学の中高一貫校には、進学実績を見ると特長的な成果があります。東大合格者数2020年のトップ10は、1位 開成(男子)、2位 筑波大附属駒場(男子)、3位 桜蔭(女子)、4位 灘(男子)、5位 渋谷幕張(男子)、6位 駒場東邦(男子)、同 麻布(男子)、8位 聖光学院(男子)、9位 海城(男子)、10位 栄光学園(男子) と全て別学で9校が私学です。男子校の占有率の高さは、強烈なインパクトがあります。2019年、2018年もやはり、上位10校中8校以上が私学で別学という結果が出ています。男女を同じやり方で指導したら伸びない男子がいるということかもしれません。男女を集団として指導する時、やはり傾向としての差が現れるのではないかと思います。中学受験の国語指導でも物語文の読解などでは、女子は行間に込められた感情を読み取ることができますが、男子はそれが苦手です。男子と女子の異なる成長スピードに合わせた方が良いように思うのはこういう時です。10代前半の男子というのは精神面で圧倒的に女子より成長が遅れているので、この時期に、そういったギャップから解放されて学校生活を送ることは意義があると思います。特にコミュニケーション能力や自己表現力に差が大きく、そのため、公立中ですと内申点の上位者は多くが女子ということもあり得ます。大学生ぐらいの年齢になれば、自己が確立し、異性の特性も認められるようになっているので、共学か別学かで人格形成や学力向上にはさほど影響を受けることもなくなるないのではないかと思います。個々の特性次第ですから、どちらがいいとは一概には言えませんし、思春期は共学で過ごす方が良いと考えるのが、自然かもしれませんが、一考の余地はあるように思います。私は、中高一貫の女子校から系列の女子大学に進学した娘を見ていて、その選択についてはとても満足しました。交友関係に恵まれたことを特に嬉しく思っています。ここでは書ききれませんが、学校の理念や校風は大切であることも実感しました。

現代社会においては、既存のジェンダー意識にとらわれない考え方が大事になっています。女子校は、性別にとらわれないキャリアをイメージできるという良さがあります。女子校は時代が求める女性像、一歩先を行く女性像を実現してきたのではないでしょうか。明治時代までは、男性が教育を独占し、女性には教育の機会が与えられていませんでした。その後、良妻賢母になるための教育が導入されましたが、男子への教育内容とは大きく隔たりがありました。女性の権利運動が進展すると、それまで女性が進出できていなかった分野へ女性を輩出するための女子校が設立され始めました。どこも設立の理由として、女性の社会的地位の向上があったはずです。経済的能力を身につけるためには、バイアスのない環境で、文系、理系問わず学ぶことや、リーダーシップを育むことが必要でした。日本では現在、共学化は「男女平等社会を形成するため」に進められています。しかし、共学化が必ずしもその目的と合致しているようには感じません。中高を共学化することは、多様性の観点からも疑問を感じます。女性の社会進出を支持するための女子校の存在は、実にわかりやすくて良いように思います。